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ようこそ森林へ メニューをご覧下さい [①森林業]

 

↑森から見る 街のむこうの森 街に接する森は多くの恵みを与えてくれる (京都)

  「森林はなぜ重要なんですか」 「森林にはどんな働きがあるんですか?」

このような森林系「そもそも論」の問いに答えることは、最初楽しく、終わってみればかなりゲッソリ、けっこうやりにくいものです。

時間をかけて「そもそも論」を話せば退屈を招き、いきなり話を絞り込めば「木を見て森を見ず」を演じてしまいます。

実はこの「やりにくさ」は、森林の現状と、森林の持つ多面的機能としっかり絡んでいるのです。

森林がレストランで、森で働く人をシェフとするなら、メニューが豊富なほど、またお客が来るほど、シェフははわかりやすいメニューを用意して客をお迎えしなければなりません。

ところが、元々社員食堂だったこのレストランにメニューはなかったのです。お客を迎えるならメニューを備えなければなりません。

メニューをごらんください

森林を理解するポイントは三つあります。

  1. 本来、森林は人に役立つ「はたらき」をいっぱい持っていること。
  2. いっぱいある「はたらき」は、一カ所の森林でも、いくつか同時に発揮できること。
  3. 森林の「はたらき」は万事、漢方薬のごとく「人に穏やかに」効くこと。

この3本柱を頭の中に据えて、聞き手に関心があり、わかりやすいと考えられる機能をメニューから探します。

メニューを開ける前に、およその区分を話す方がわかりやすいでしょ。「こちらのページはお食事、こっちはお飲物です」といったノリで。

  1. 物質生産機能
  2. 公益的機能

に分けると、わかりやすいでしょう。

物質生産機能は、森の産物をgetすることで、木材生産、山菜・きのこ、さらには森で育った動物も含みます。水と空気は含みません。

公益的機能は、「モノ」ではなく、安心、安全、やすらぎ、学びのように「心」でgetするものです。但し水と空気を含みます。

公益的機能はさらに細かく分かれます。

  • 生物多様性保全
  • 地球環境保全
  • 土砂災害保全
  • 水源涵養
  • 快適環境形成
  • 保健・レクリエーション
  • 文化機能

メニューはもう少し細分化します。

MENU 

日本学術会議の答申、「森林の有する多面的機能」(林野庁HP)

としてメニューが示されています。これが標準メニューです。

一店一店のレストランに異なるメニューがあるのと同様に、それぞれの森にそこだけのメニューがある方がいいのですが、今は標準メニューが示されたところです。

まだ、「シェフのおすすめ」も入っていません。その先に話し合いが必要です。

自分が関心を持っていることはコレ、森に期待することはこの部分というように整理して話が始まれば、話も深まりブレません。

従来、この区分が学識者の間でも「まちまち」だったので、入口でいきなりdeepな議論になり、もうその時点で専門家以外の人々はついていけなくなってしまうのでした。そこで平成13年、「日本学術会議の答申」として権威をもって整理され、このメニューが世に示されました。

さて、メニューを通じて、聞きたいこと、話すことが決まれば、あとはもうプロの腕の見せ所です。得意分野は雄弁に、手薄なところはそれなりに、手に負えないところは詳しい人を紹介し・・・・。とにかくプロはプロであり、お客様は神様なのです。

 社員食堂からレストランへ

森林の位置付けは「木材生産工場」から「木材生産機能も含めた国民みんなの財産」にシフトしつつあります。シフトと言っても決してすべてが代わるのではなく、(前述「ポイント1、2、3」参照)、本当に変わるのはごく一部と思います。

この変化は、大きな工場の社員食堂のひとつを、見学者向けのレストランに変えるようなものでしょうか。社員もさりげなく利用でき、メニューは豊富になった。来場者も楽しいし、社員も楽しい!お客様の前では緊張するなあ、と社員が思った時は、もうひとつの社員食堂に行く・・・・。

森林ファンが増えれば森林は楽しい世界になります。

鉄道ファンがいなければ、鉄道はバスやトラックと同様の1輸送システムでしかなかったでしょう。

社会的共通資本は、ファンがいるといないで大違いです。

森林も鉄道も社会的共通資本です。森林は関係者が一丸となって、もっとファンを増やしましょう。

 

 

 


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